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第20話 現実を知る

last update Last Updated: 2025-09-06 07:45:01

「あ、いえ、あの〜まだ今日からお付き合いが始まるわけで……」と言うと、

「うん! そうだな。俺は0日婚でも良いぞ!」と言った。

「!!……」

──だから何を言ってるのよ! ったく……

「それは、さすがに……」と言うと、

「この半年、毎日一緒に居て、俺はもう寧音のことが大好きだ!」と言った。

「……」

ポーッと頬が熱を帯びて行くのが自分でも分かった。

「寧音は、まだ俺のことが分からないか?」と聞かれて、

「最初は、全然分からなかったけど、今は随分分かってきて……でもまた·分からなくなりました」と言うと、

「なら何でも聞いて!」と言う。

「専務は……」と言うと、

「ちょっと待った! さすがに恋人同士が、··は無いよ」と言われた。

──それもそうよね〜でも、何と呼べばいいの?

と悩んでいると、

「……う〜ん」

「修斗!」と言った。

「!!」

「いや〜さすがに、いきなり呼び捨てなんて」と言うと、

「なら、好きなように呼んでも良いけど、専務は禁止! それに、まだ敬語になってる」と言われた。

──え〜どうしよう〜

櫻木修斗! さくら、チェリー! ハハッそれは違うな! 修斗さん? う〜んやっぱり、さん付けかな〜

「じゃあ、やっぱり修斗さん……かな」と言うと、

「ま、いいか」と笑っている。

「修斗さんは、元々結婚願望があったの?」と聞くと、

「そうでもなかったけど、寧音と出会ってからは、結婚も良いかもなって思い始めた」と言われて又驚いた。

「そう、なんだ……」

「だってさ、寧音はよく知ってるでしょう? 今までの俺のことを……」と言うが、

「以前の会社での1部分のことや、この半年のことは聞いたけど、それ以外のことは……」と言うと、

「うん、それでも、俺の家系のことや、伯父とのことを知っても、寧音は、俺に媚びることなく、1役員として接してくれていただろ?」と言う。

「もちろん秘書だから」と言うと、

「その秘書でも、自分の事しか考えていない女は、金持ちばかり狙ってるんだってば」と言う。

「私は、専……修斗さんのことを会社では、上司として見てただけだったけど、一緒にご飯に行ったりすると、時々可愛い所もあるんだなって、思ったりしてて」と笑いながら言うと、

「え? そうなの? 言ってよ〜なんかちょっと恥ずいな
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